「抜きの刑」__それは昔の話じゃない!?
今も形を変えて続く”緩やかな塩抜き”から身を守る、塩選びの話です。
「塩抜きの刑」とは、江戸時代に行われていた拷問方法のひとつです。
もし、現代の私たちも形を変えた”塩抜き”状態に陥っているとしたら、あなたはどう思いますか?
本記事では
- 「塩抜きの刑」とは何か
- なぜ今、”塩”が注目されているのか?
- 健康のために選ぶべき塩とは?
についてわかりやすく説明します。
読み終えた頃には、塩の選び方が変わるかもしれません。

塩の歴史と私たちとの深い関係を、わかりやすく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください!
1. 「塩抜きの刑」って何?昔の話…だけじゃない!

塩抜きの刑とは?
「塩抜きの刑」は、江戸時代に行われていたとされる拷問方法のひとつです。
やり方はとてもシンプルで、塩分を一切含まない食事を数日間与え続けるというものです。
見た目は暴力的ではありませんが、体内のミネラルを絶たれた人間はじわじわと衰弱し、最終的には命に係わる非常に残酷な刑です。

「塩抜き」は取り調べや拘束の際に、囚人の反抗心や抵抗力をそぐ目的で行われていたと言われています
1930年代アメリカでの観察記録
以下は、アメリカで塩分を完全に断った場合の影響を観察した記録だそうです。
その結果、わずか数日で体に大きな変化が現れました。
3日目:食欲の低下
5日目:だるさ、脱力感
8日目:全身がけいれん
この記録は、ナトリウムやミネラルがなければ、人は正常に生きられないという事実を突きつける記録です。
人は塩分やミネラルを絶たれるとどうなるのか
結論:体も心も正常に働けなくなります!
✔疲れやすい
✔だるい
✔イライラする
✔集中できない…
こうした日々の不調、実は、「塩不足・ミネラル不足」が関係しているかもしれません。
放っておくと、ホルモンや神経系、免疫機能など、さまざまな影響が全身に表れます。
私たちが毎日のように使っている「塩」は、味付けだけではなく、体の中でも重要な役割を担っているのです!
今の私たちは”現代版・塩抜きの刑”!?
実は、現代の私たちも…”ゆるやかな塩抜き”状態になっている可能性があります。
その理由は、多くの家庭や加工食品で使われている精製塩が関係しています。
精製塩には、ナトリウム以外の大切なミネラルがほとんど含まれていないため、栄養的には不足しているのです。

”塩は足りてる”と思っていても、それ”ナトリウムだけ”かも
本物の塩はどこへ?日本の塩のうつり変わり

戦前、自然な塩が当たり前だった
戦前:海と太陽の恵みそのもの、ミネラルたっぷりの海塩が日常にあった
昔の日本では、海水をじっくり干して作る「海塩」が当たり前でした。
海塩はミネラルをたっぷり含んだ、海と太陽の恵みそのもの。
今では「こだわりの塩」として特別扱いされているような塩が、日常にあったのです。
戦後、塩は国の管理下に置かれた
戦後:国の管理下で専売制度になり、天然塩は消え、精製塩が主流に
戦後の日本は、深刻な塩不足に見舞われました。
安定して届けるために、政府は1949年に「塩専売制度」を開始させます。
この制度によって、塩の生産・流通・販売はすべて国の管理に!
それまで各地で作られていた天然塩は、「非効率でコストが高い」とされ、半ば強引に廃止されていきます。
代わって導入されたのが、イオン交換膜製塩法という新しい技術です。
この方法で作ると、精製塩を効率的に大量生産できる一方で、ミネラルはほとんど含まれません。
こうして、知らないうちに私たちの暮らしから”本物の塩”が姿を消していき、1971年には、全国すべての塩田が廃止になりました。
この流れには、戦後の占領政策を進めていたGHQの方針も影響していたと言われています。
反対意見もあったようですが、動物実験も行われないまま採用が進められたと言われています。
背景には、GHQだけではない何か大きな力が働いていたのかも…?
1997年、塩の専売制度がついに廃止!
1997年の自由化:市民の声で塩の自由化が実現。再び天然塩が作れる時代に
1997年、長く続いてきた塩の専売制度がついに廃止され、塩の製造や販売が自由化されました。
この背景には、「自然な塩を取り戻したい」と願う市民たちの声、生産者や研究者、一部の議員たちによる粘り強い活動がありました。
まさに、”消費者の声が制度を動かした”例です。
この塩の自由化は、天然塩の復活を期待する人たちにとって、大きな希望になりました。

あきらめずに、声を上げるって大事なことなんだね!
自由に選べる時代へ、でも現実は?
自由化後の現実:精製塩が圧倒的に普及。天然塩は特別な存在のまま。
現実は、制度が変わっても、私たちの食卓はすぐには変わっていません。
天然塩は手間もコストもかかるため、どうしても価格は高くなりがちです。
一方、精製塩は安く大量生産ができ、手に入りやすいことから、元の状態になかなか戻らないのです。
こうして、”命の塩は、どこか遠い存在のようになってしまいました。
今でも、精製塩こそが「ふつうの塩」だと思っている人も多いかもしれません。
スーパーに並ぶ加工品の多くには、今も精製塩が利用されています。
パンやお菓子、お弁当だけでなく、発酵食品の代表である味噌や醤油まで例外ではありません。
つまり、普通に暮らしているだけでは、天然塩に出会う機会はほとんどないのが現実です。
気づかぬうちに、精製塩中心の暮らしを続けているのです。

何を選ぶかで、未来の塩が決まっていくかも
「天然塩」や「自然塩」は、法律で定義された言葉ではありませんが、一般的にはミネラルを含んだ自然な製法の塩を指します。
塩の種類は3つ!特徴と見分け方

ひとくちに「塩」といっても、製法によって大きく3つに分けられます。
それぞれの特徴を、わかりやすくご紹介していきますね。
精製塩
精製塩とは、海水や輸入した塩から塩化ナトリウムだけを取り出して作られた塩です。
成分の99.5%以上が塩化ナトリウムで、ミネラルはほとんど含まれません。
戦後の塩不足をきっかけに、効率よく大量生産できる「イオン交換膜製塩法」の導入で、安くてサラサラした精製塩が全国に広まりました。
現在でも、パン屋お菓子、加工食品やお弁当などだけではなく、味噌や醤油まで、広く使われています。
ただし、長期的なミネラル不足や、さまざまな不調の原因になることもあります。

戦後は、精製塩しか手に入らない時代が、約50年も続いてたんだって!
- 成分 … 塩化ナトリウムが99.5%以上
- 製法 … イオン交換膜法や立窯など
天然塩(自然塩)
天然塩(自然塩)とは、自然に採掘される岩塩や、海水を天日や平窯などの伝統的な製法でじっくり作った塩のことを指します。
精製塩とは違い、塩化ナトリウム以外にも、自然由来のミネラルがそのままバランスよく含まれ、まろやかな味わいが特徴です。
- 海塩
- 原材料 … 海水のみ
- 製法 … 天日や平窯など昔ながらの製法
- 岩塩
- 原材料 … 岩塩(○○産)
- 湖塩
- 原材料 … 湖塩や天日塩(+産地明記)
再生加工塩
再生加工塩とは、海外の天日塩を国内で加工・添加し“天然塩風”に仕上げた塩のことを指します。
また、国産の精製塩にミネラルを添加したものも、再生加工塩と呼ばれることがあります。
戦後の日本では、「塩田法」によって昔ながらの塩づくりが禁止されていました。
その中で例外的に認められていたのが、海外の塩を輸入し、国内で加工して販売する方法です。
これが、再生加工塩のルーツです。
日本は土地が狭く湿度も高いため、伝統的な塩づくりは非常に手間とコストがかかります。
一方、海外の広大で乾燥した塩田では、安価に作ることが出来ます。
こうした背景もあり、再生加工塩は、私たちの暮らしの中に広く普及しました。

「伯方の塩」やなどが再生加工塩だよ
- 原材料 … 天日塩(海外)+ 海水や添加物
- 製法 … 溶解や立窯など
さらに詳しい塩の選び方については、こちらの記事にまとめています。
どの塩を選ぶ?”本物の塩”

結論! 天然塩(自然塩)の海塩を選ぶべし!
日本に住んでいる私たちは、海水を原料にし、伝統的な製法で作られた海塩がおすすめです。
その理由について3つ解説します。

それでは、見ていきましょう!
人はミネラルなしでは生きられない
私たちの体の中で、ミネラルが占める割合は、たったの5%ほど。
けれど、その小さな5%が、命の歯車を回し続けています。
ひとつ欠ければ、体は静かにバランスを崩し、やがて不調となってあらわれます。
逆に多すぎても、また体を苦しめる。
それほど繊細で、そして力強い存在です。
カルシウムやマグネシウムのように有名な物もあれば、亜鉛、銅、セレンといった、ごく微量でしか存在しない”縁の下の力持ち”もあります。
それらミネラルは互いに支え合い、私たちを生かしてくれているのです。
- 生命維持の基盤 ⋯ 体のわずか5%だが、全ての生命活動を支えている
- バランスの維持 ⋯ 互いに協力し合い、不足や過剰では体調が崩れる
- 多彩な働き ⋯ 骨や歯の材料から、神経伝達などまで幅広く関与
私たちの体の中には、”海”がある
お母さんのおなかの中で、赤ちゃんは羊水に包まれて育ちます。
その羊水のミネラルバランスは、太古の海水と驚くほどよく似ています。
また、私たちの血液の一部である血漿も、海水と似た成分を持っています。
人は今も生命が誕生したころの”海の記憶”を体の中に受け継いでいるのです。
これが、海水そのままの成分を持つ「海塩」をおすすめする理由です。
日本はミネラル不足の国
日本は、急な山が多く、土にミネラルがとどまりにくい地形です。
そこに雨の多い気候が重なり、土地のミネラルは流されやすくなります。
さらに、日本の水はミネラルの少ない軟水です。
加えて、農薬や化学肥料によって、農作物のミネラル含有量も減少しています。
かつては、魚や海藻、発酵食品を多くを取り入れた和食が、このミネラル不足を補っていました。
とてもよく考えられていた食文化です。
しかし今では、魚を食べる機会や、伝統的な和食から離れる傾向が強まり、そこに、ミネラルをほとんど含まない精製塩の普及も重なって、状況はさらに悪化しています。
- 地形的にミネラルが土にとどまりにくい
- 雨が多くミネラルが流されやすい
- 軟水
- 農薬や化学肥料の多用
- 魚や伝統的な和食離れ
- 精製塩の普及
軟水とは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル含有量が少ない水のこと
おすすめの天然塩3選!

ここまで、天然塩の見分け方について解説してきました。
この記事を読む前と比べて、少しでも見分け方がわかるようになったと感じていただけたら嬉しいです。
ただ、具体的な天然塩の商品を知りたい方もいらっしゃると思いますので、ここからはおすすめの天然塩をご紹介します。

下記に特徴をまとめた表を作ってみました!
商品名 | 一言ポイント | 原材料名 | 工程 | 製造者 |
---|---|---|---|---|
海の精あらしお | 復活した日本の伝統海塩 | 海水(伊豆大島近海) | 天日、平窯 | 海の精株式会社 |
天然塩あまび | 生活習慣病と戦う店ササヤ | 海水(沖縄県100%) | 天日、平窯 | 株式会社ササヤ(旧株式会社アジアンモーターズ) |
粟国の塩 | いのちは海から | 海水(沖縄県粟国島) | 天日、平窯 | 株式会社沖縄海塩研究所 |
※ 比較表はそれぞれのHP等の商品情報を参考に作成しています
※ 製法等異なる可能性もありますので、詳しくはHPをご確認ください
上の表の商品名をクリックすると、記事内の商品紹介箇所に移動します。気になる商品があれば、ぜひクリックしてみてください。
海の精あらしお
「海の精あらしお」は、80種類以上の元素を含む海水をそのまま濃縮して作られた、生命維持に必要な無機元素を豊富に含む塩です。
そのため、ただ塩辛いだけではなく、バランスの取れた無機塩類によって、ほのかな甘みや旨みを感じる独特な風味が特徴となっています。
この「海の精あらしお」は、かつての塩田が全廃された後に始まった「自然塩復活運動」の一環として、厳しい塩専売法の規制と闘いながら復活を果たしました。
自然の力を活かした製塩へのこだわりから、今日に至るまで多くの人に支持され続けています。
天然塩あまび
「天然塩あまび」は、シンプルな素材と製法にこだわった、身体と心の健康をサポートする塩です。
ある日、突然脳梗塞を発症したことをきっかけに、「食・身体・精神性」の3つが揃ってこそ真の健康が得られることに気づき、そこから誕生したそうです。
この「天然塩あまび」は、よりきれいな海水を求めて沖縄近海で採水され、昔ながらの昭和30年代に主流だった流化式塩田を用いて、太陽と風の力でじっくり海水を凝縮させています。
また、平窯の素材にはステンレスが使用され、フッ素樹脂は一切使っていないため、より安心して使うことができます。
名前の由来は、自然の恵みを舌で感じ、五感を刺激する天女のような味わいを感じることから名付けらられたそうです。
また、放射能検出ゼロ(財団法人日本食品分析センターによる検査済み)という安心感も、この塩の特徴のひとつです。
粟国の塩
「粟国の塩」は、塩本来のあるべき姿を追求して生まれたこだわりの逸品です。
単なる昔の塩を再現するのではなく、現代の食文化や健康を考慮し、塩がどうあるべきかを徹底的に研究した結果、誕生したそうです。
この塩は、素材の持つ本来の旨味を最大限に引き出し、料理全般はもちろん、梅干しや味噌、醤油などの加工食品とも抜群の相性を誇ります。
どんな料理にも自然に溶け込み、深い味わいをプラスする「粟国の塩」は、日々の食卓を豊かにしてくれる塩です。
天然塩については、こちらの記事にまとめています。
まとめ

私がおすすめする塩は、天然塩の海塩です。
私たちの身体は、たった5%ほどのミネラルによって支えられています。
そのミネラルバランスは、太古の海の成分ととても良く似ています。
日本はミネラルがとどまりにくい土壌です。
また、現代の食生活では、精製塩の普及や和食離れ、農作物のミネラル低下などによって、知らないうちにミネラル不足が進んでいます。
だからこそ、日々口にする塩を選ぶことは、とても大切です。
海水を原料に、昔ながらの製法で作られた海塩をおすすめします。
海塩は、自然の恵みをそのまま届けてくれる”命の塩”なのです。
天然塩については、こちらの記事にまとめています。
参考書籍:人生が変わる塩 冨山悦昌著 幻冬舎 |